☆ 作編 松風 さわぐ ☆
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§第1話 おらの2003年3月20日 **2004年3月記**
おらは、世界情勢なっつ〜、まんずむずかすいごどは、わがんねえげどよ。
だげどよ、こないだテレビつけでみだらば、
イラクのバグダッドっつ〜どごに、
アメリカがミサイルぶちごんだ画面が写ってだげど、びっくりこいだな〜。
脇にいだ、うぢのバアさんも腰は〜ぬがしてオレにしがみづいで震えでいだだよ。
そんで、晩メシの時、うちの若えのに聞いてみたらば、
なんでも、アメリカとイギリスが国連の言うごどを無視して、
勝手に、イラクに先制攻撃だっつって、ミサイルぶちこんで、戦争おっぱじめだっつ〜でね〜が。
まあ、おらも前々がら、
イラクにはフセインっつ〜良ぐね〜独裁者がいるっつ〜ことは聞いていたげんど、
まんずは〜、ミサイルぶじごまなぎゃ、フセインっつ〜のは倒せね〜のがい、
なんで戦争までしなぎゃなんね〜のがって、その晩は一睡もでぎながっただよ。
なんで、そんなごどでジジイが眠れね〜のがって、不思議に思うだろうが、
おらが小せ〜ごろは、日本とアメリカは戦争ばしてで、
軍需工場があったおらの町は、たびたびアメリカの爆撃機に空爆されてだだよ。
アメリカのB29と言う爆撃機が、焼夷弾と言う恐ろしい爆弾を投下するんだげんど、
それを防空壕ど言う、地面を掘って、土の屋根で覆った穴に入って、
空爆がやむのを震えながら、じっと待っている、そんな日々が続いただよ。
そんで、そのごろ、おらには、毎日ママゴト遊びをしてだ、二つ年下のめんこい女の子がいでな、
その日も、またママゴト遊びをすんべと思って、
その子の家に行ってみだらば、家が跡形もなぐなってでよ〜、
よぐ聞いでみだらば、前夜の空爆の焼夷弾から家族全員逃げ遅れで死じまっただど。
それを聞いて、おらは〜びっくりこいだのなんの、腰ば〜ぬがして、
しばらぐそごに茫然としたままだっただよ。
いつもツブラな瞳で、きゃっきゃっ言いながら、むっちりかわいい手で、泥のダンゴを作ってくれだ、
・・・たしが、サッちゃんつったな〜・・・
そのめんこがっだサッちゃんが、夕べ、枕もどに出できて、
『タロちゃん、たすげでくんろ〜、いで〜よ、いで〜よ、たすげでくんろ〜』と、
泥ダンゴを作ってくれだ、むっちりかわいがった手をまっ赤な血で染めで、
おらのほうに差し出しているんだけんど、おらがその手をつかもうどするど、
どんどんその手が遠くへ行っちまうんだよ。
だけんど『たすげでくんろ〜、いで〜よ、いで〜よ』と言う声だげは、ますます大ぎぐなっていぐんだ。
それが一晩中、波を打ったように繰り返し続いでよ〜、
気がついだらば、一睡もでぎず夜があげでだっつ〜わげだ。
サッちゃんは生ぎでりゃ、おらの嫁っこになって、幸せに暮せだだによ〜、
焼夷弾なんかに焼かれで、痛がったべな〜、どんなに苦しがったべな〜、
あんなめんこがったサッちゃんを奪った戦争を、おらは許さね〜だよ。
おらは、あのバグダッドの空爆をテレビで見だ日がら、少し世のながのごどを勉強せねばど思い、
ボゲあだまを撫でながら、新聞、テレビをよぐ読んだり見だりしてっげども、
先日の新聞の写真見でドギリどしだな。
写真の説明には『バグダッドで、上空を飛ぶ米英軍機を不安げに見つめるイラク人少年』とあり、
壊れがげだ窓がらじっと空を見上げでいる少年と、
その後ろで母親らしぎ女性と妹らしぎ幼ごも不安そうに見上げでいる写真なんだげんど、
あの戦時中の時の、自分とサッちゃんの姿を見だようで、胸が込み上げできただよ。
あ〜せずね〜な、この子だじは今ど〜なってんだべど思うど、いでもたっでもおれね〜げんど、
おらにはなんの力もね〜だで、無事でいでくんろと天に祈るしかね〜だでよ。
かなすいな〜。せずね〜な〜。
(禁無断転載)